【ケガの常識が変わる?】新時代の応急処置「PEACE & LOVE」とは
「足をくじいた」「肉離れをした」というとき、まずは「氷で冷やす(RICE処置)」と思っていませんか?
実は近年のスポーツ医学において、応急処置のスタンダードが「RICE(ライス)」から「PEACE & LOVE(ピース アンド ラブ)」へと変化してきています。
なぜ過度なアイシングを避けるようになったのか、ケガをした直後から回復期までに何をすべきなのかを、具体的な例を交えて解説します。
昔の「RICE」と新しい「PEACE & LOVE」の違い
これまで主流だった「RICE処置」は、安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)の頭文字をとったものでした。
しかし、2019年にイギリスのスポーツ医学会誌(BJSM)で提唱された「PEACE & LOVE」では、「ケガ直後の急性期」と「少し落ち着いた回復期」の2段階に分けて処置を行います。
最大のポイントは、「冷やしすぎない」「安静にしすぎない」ことです。ケガをした後の「腫れや熱」は、体が傷ついた組織を修復しようと血液を集めている正常な治癒プロセスです。長時間冷やし続けたり痛みを完全に消してしまったりすると、かえって治り(組織の修復)が遅くなることがわかってきたのです。
急性期(ケガ直後〜3日目頃):PEACE(ピース)
ケガをした直後は、傷口や患部の悪化を防ぎ、体が自然に治る環境を整える「PEACE」を意識します。
P:Protect(保護)
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意味: 痛みが出る動きを避け、数日間は患部の負担を減らします。
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具体例: 足首をひねった場合、痛む方向に無理に足をひねらない。松葉杖やサポーター、テーピングを使って痛む足に体重をかけすぎないように保護します。
E:Elevate(挙上)
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意味: 腫れ(浮腫)がひどくなるのを防ぐため、患部を心臓より高い位置に保ちます。
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具体例: ソファーやベッドに横になり、クッションや枕を足の下に敷いて、足首を胸(心臓)より少し高く上げて休ませます。
A:Avoid Anti-inflammatory(抗炎症処置を避ける)
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意味: 過度なアイシングや、強い湿布・消炎鎮痛剤の常用を避けます。
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具体例: 氷で1時間も冷やし続けたり、痛みを麻痺させて無理に動いたりしない。熱感がどうしても強い場合のみ、数分〜10分程度軽く冷やすにとどめます。
C:Compress(圧迫)
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意味: 適度な圧迫を加えて、無駄な内出血や腫れが広がるのを防ぎます。
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具体例: 弾性包帯(バンテージ)やサポーターを、締め付けすぎない程度(指が1〜2本入るくらい)に巻いてサポートします。
E:Educate(患者教育・適切な理解)
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意味: 受動的な治療だけに頼らず、自分の治癒力を信じて正しい知識を持ちます。
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具体例: 「ただ寝ているだけ」「電気をあてるだけ」で治すのではなく、自分の体の状態を理解し、次のステップ(リハビリ)へ向ける意識を持ちます。
回復期(痛みが落ち着いてから):LOVE(ラブ)
炎症のピークが過ぎたら、積極的に動かしていく「LOVE」に切り替えます。
L:Load(適切な負荷)
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意味: 痛みの出ない範囲で、少しずつ患部に体重や刺激を与えていきます。
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具体例: 足首の捻挫なら、「痛みがなければかかとから足をついて歩いてみる」「少しずつ体重を乗せていく」ことで、傷ついた靭帯が強く修復されます。
O:Optimism(楽観思考)
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意味: 「ちゃんと治る」と前向きに捉えることで、脳の痛み抑制システムを働かせます。
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具体例: 「もう二度と走れないかも…」と落ち込まず、「順調に回復している」「またスポーツができる」と肯定的なイメージを持ちます。
V:Vascularisation(血流促進)
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意味: 痛みが出ない程度の有酸素運動を行い、患部へ新鮮な血液と栄養を届けます。
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具体例: 足首のケガであれば、痛みの出ない上半身の筋トレや、負担の少ないエアロバイク(自転車こぎ)、軽いウォーキングなどで全身の血行を高めます。
E:Exercise(運動・リハビリ)
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意味: 関節の柔軟性や筋力、バランス感覚を取り戻す運動を行います。
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具体例: 関節をゆっくり曲げ伸ばしするストレッチや、片足立ちでのバランス訓練など、元の生活やスポーツ復帰に向けたトレーニングを行います。
自己判断が難しい場合は整骨院へ
「冷やさない・動かす」が新しい基本ですが、骨折や靭帯断裂が疑われる場合や、激痛・激しい変形がある場合は無理に動かしてはいけません。
当院では、ケガ直後の固定やチェック(PEACEのサポート)から、後遺症を残さずスムーズに復帰するためのリハビリ(LOVEの実践)まで、状態に合わせた最適なサポートを行っています。
「足をくじいてしまった」「湿布を貼っているけれど痛みが引かない」とお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。